今回ご紹介する「ほや酔明」は、三陸地域名産の生ほやのむき身を、特製のタレに漬け一昼夜干して仕上げた、海の香りのする大人のおつまみです。独特の味と香りがあるため好き嫌いが分かれる食べ物ですが、ここ数年はプラザでも人気商品として販売数量が増えるなど関東エリアの方にもファンが増えています。
今回は、東北新幹線の車内販売のワゴンでひときわ目を引く「ほや酔明」の誕生・成長秘話と、ほやの現状について水月堂物産の社長 阿部芳寛さんにお話を伺いました。
その前に!ほやとは...
大人の拳ほどの大きさで、見た目がパイナップルに似ているため「海のパイナップル」と呼ばれる、貝とも魚とも動物とも言い難い、オレンジ色の衣をまとった海で育つ生き物です。中の身の部分を取り出しそのまま生や酢の物で食べたり、身の部分を燻製にしておつまみとして食べたりします。生でも加工しても独特の風味があるため、好き嫌いが分かれる食材と言われています。
東北新幹線開通とともに生まれ、今年で28歳になりました。

特派員:社長!お忙しいところお時間をいただいてありがとうございます。
社長:いやいや、わざわざ東京から遠いところ訪ねてきてくれて悪いねぇ。
特派員:今回は、プラザでもおなじみの「ほや酔明」の誕生秘話についてお聞かせいただきたいのですが、「ほや酔明」は社長が商品開発をされたんですよね?
社長:そうだよ。あれは東北新幹線が開通する5年くらい前だったかなぁ、もうその頃には商品の見本のようなものは出来始めていたんだ。でも当時はほやは生で食べる物であって、加工して販売しても誰もお金なんて出して買わなかった。
特派員:そう言われるとそうですよね。昔はほやの加工品もほとんど無かったですもんね。
社長:そう。でも、生ほやが出回るのは5月頃から9月頃までだけでしょ。それ以外の時期はほやを食べたくても生ほやは無いし、生ほやだけを売って商売してたらそれ以外の時期は収入が無くなっちゃうから、食べたい消費者としての気持ちと社長としての責任が重なった結果この商品を作り始めたんだ。
特派員:へぇ、そういうスタートだったんですか。
社長:でもやっぱり、まわりはほやの加工品なんてって状態だから、ちらほら売れたり売れなかったりぐらいの状態で数年経ったんだけど、ちょうど東北新幹線の開通の2年前くらいに縁あって新幹線で販売する商品としてほやも考えてみましょうという話になって、東京まで商品を持ってでかけて行ったんだ。
特派員:なるほど。これまでのお話からすると「ほや酔明」の滑り出しは順調だったんですね?
社長:いやいや、そういうわけでもなくて・・・。当時は袋入りで販売していたんだけど、新幹線だと乗ってる時間も短くなるから、少量で持ち運びしやすい形にということで、今のような箱入りになったんだよ。箱のデザインも俺が考えたんだよ!
特派員:ということは、中身も外見も100%社長自らの開発なんですね?
社長:そうそう。でその時に決まった箱が今でも同じ形で使われているんだ。商品が出来て今年で28年。いろいろあったけど、なんとか今もこの形でやれてるよ。売上も最初の何年かは鳴かず飛ばずな感じだったよ。でも東北新幹線の開通からずっと新幹線に置いてもらってたから、徐々にではあるけれども商品を覚えてもらって買ってもらえるようになってきたんだ。途中いろいろとあったけど何とかこの「ほや酔明」も28歳のいい大人になったよ。ここまで育ててもらえたお客さんに感謝だねぇ。
特派員:そうですね。おっしゃるとおりですね。
手作りにこだわった製造方法

特派員:ひとつの商品が出来上がるまでって、だいたいどれくらいかかるんですか?
社長:原料となる生ほやから身を取り出し、一昼夜特製のタレに漬け込んで、丸一日乾燥させて裁断して箱詰めする。この全部の工程で約1週間ぐらいはかかるかなぁ。
特派員:やはり全部が手作業なので時間はかかるんですねぇ。
社長:こればっかりは仕方ないよ。原料のほやも時期によって大きさも身の厚さも変わるから、それに応じて漬け込みの時間を変えたり加工をしないと、いつも同じ味というのには仕上げられないんだ。
特派員:そうですよね。機械にお願いせざるを得ない部分はお願いするとして、やはり原料由来の品質面などの部分は人の経験と手をかけてやるのが一番信頼がおけますからね。
社長:箱詰めも手詰めだから、スタッフを総動員して丸一日箱詰めしたとしても2000箱ぐらいが作るのの限界かなぁ。
特派員:そうですね。でもみなさん馴れてるので安心して任せられそうですね。
社長:これなんかは自分がやると邪魔になるだけだからね(笑)
ほやとほや酔明のこれからは?

特派員:ほやのこれからってどうなんでしょう?
社長:ほやは地味な商品だからなかなかだけど、またここしばらく人気が高まりつつあるのかな?著名人にもファンが多いって聞くし、健康面や国産という安全性の部分でも見直されているみたいだよ。
特派員:そうですね。イラストレーターの安斎肇さんもファンだと聞きますしね。また大学の研究結果などではボケ防止にもいいとかなんとか?
社長:そうそう。美味いものを食べてさらに体にもいいんだからありがたいもんだよ。やっとほやの認知度は高まってきたから、あとはほやの加工品がもっと売れてくれるといいなぁ。
特派員:そうですね。例えば「ほや酔明」を珍味として以外に、例えば料理の材料として使えたりしないんですかね?
社長:出来るよ!ゆでたパスタに「ほや酔明」を絡めると、海の香りのする「ほやスパゲティ」とかが出来るよ。
特派員:へぇそういう使い方(食べ方)もあったんですね。もっと料理の材料のレシピとして食べ方が広がれば、商品としても広がっていくでしょうね。
社長:そうだね。また妻とも従業員とも話していろいろ考えていかなきゃね。まだまだ他にも商品作ったりいろいろとやりたい事もあるし、がんばらんといけんね。
あとがき
「ほや酔明」の箱には、美味しいほやの乾燥珍味だけでなく、考案者としての社長の思いとそれを支えた奥さんの内助の思いもたくさん入っている気がしました。
宮城ふるさとプラザでは、「ほや酔明」(15G/315円)をはじめ、「ほや一夜漬」(180G/735円)や「小女子のくぎ煮」(70G/441円)などの水月堂物産の商品も扱っております。
三陸の海の恵みの味がぎゅっと詰まった品々をぜひ一度お試しになってください。


